この春5Gスマホを買って自慢したい人へ 「これからの5Gビジネス」著者 石川温氏に訊く

ギークなら2020年に5Gを楽しみましょう

矢崎飛鳥
矢崎飛鳥, @ACCN
2020年01月25日, 午後 09:00 in 5g
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Engadget
2020年春いよいよ5Gが日本でも開始されます。テック系メディアに限らず「5G」のワードがニュースの見出しに踊らない日はないと言っていいほど、情報は日々アップデートされています。ただ、いろいろな情報が錯綜していて、いまいち実態がつかめない方、結局何が変わるのかピンと来ない方もいらっしゃるのでは? ジャーナリストの石川温氏は、新著「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(MdN)で日本における5Gの現状を冷静に分析。そもそも5Gはどういう仕組なのか? 5Gで生活やビジネスがどう変わるのか? そしてどのような進化を遂げ、どんな未来が待っているのかを通信業界の変化を最前線で見続ける同氏ならではの知識と見解でわかりやすくまとめています。石川氏と私(Engadget 編集長 矢崎)は付き合い長く、本書は同氏から献本いただき、拝読しました。モバイル・テクノロジー業界に携わる人はもちろん、これから10年以上現役で働かれる全ビジネスパーソン必読の書であると感じ、それと同時にガジェット好きのギークにも、ぜひ読んでほしいと思う箇所がたくさんありますので、インタビューを交えご紹介させていただきます。

──「冷静に」という言葉を幾度か用いられていますね。

石川 日本は5Gのサービス開始を意図的に東京五輪に合わせたわけですから、当然「5G五輪祭り」的なノリにはなると思いますし、それは否定しません。しかし、正しく理解せずただ浮かれてお祭り騒ぎをし、実際に5Gが始まってから「結局こんなものか」とか「何も変わらないじゃん」などと言ったり書かれたりするのは絶対に違いますから、まずは冷静に情報を整理する必要があるかなと。

──いかにも書きそうですよね、日本の一般メディアは(笑)。思えば3Gから4Gの移行も緩やかでした。

石川 3G~4G、4G~5Gと、すべて積み重ねの上にありますからね、楽天の完全仮想化ネットワークは見ものですが。特性の異なる周波数が各キャリアに割り当てられ、既存周波数とのキャリアアグリゲーション(CA/周波数を束ねてパフォーマンスを出す)や、すでにあるビームフォーミング(電波に指向性をもたせ無駄を省く)などの技術を応用するなど統合的に土管を太くしたのが年内に開始される5Gです。

──ノンスタンドアローンってやつですよね! 覚えました。

石川 はい、音声もしばらくは4Gです。5Gのスタンドアローンは2022~2023年に実現するでしょう。スタンドアローンになると、ネットワークを仮想的に分割するネットワークスライシングに対応し、モバイル通信はより効率的にパフォーマンスが出せます。

──スタンドアローン、ネットワークスライシング、ビームフォーミング... ほかにもいろいろな専門用語が出てきます。私、お勉強は苦手なほうで、単語の覚えとかすこぶる悪いのですが、この本で読んだことは不思議とスッと入って忘れないんですよね。面白くて、わかりやすい。

石川 ありがとうございます、たんに興味ある分野だからじゃないですか?(笑) 専門的な用語って、極力避けたほうがいいと考えた時期もありましたが、技術に関しては案外そのままのほうがいいのかなと思うようになりまして。キャリアアグリゲーションとか、最近はブランディングせずそのまま使っていますよね。

──実は数字も苦手で... 5Gの特性として超高速・超低遅延・多数同時接続というのは誰でも挙げられますが、数値的な部分はふんわりでした。今後、仮に「5Gってなぁに~? なにがすごいの~?」と聞かれ簡潔に答える必要がある場面で、この3つを何かのひとつ覚えのように繰り出すのではなく、数値で伝えられるようになり、インテリジェンスの印象に大きな差が出たなとたいへん感謝しております。

石川 キャバクラでモテたいんですね。

──文章内に「5Gを楽しむ」「5Gスマホを自慢する」という表現があって、ギークの石川さんらしいなと(笑)

石川 5Gでは、いろんな夢が語られています。本書にも現実的な未来の例を挙げていますが、冷静に考えて、最も身近で最初に来るのってスマホじゃないですか。ARとかVRとかスマートグラスとか、もちろん研究は進んでいますけれど、これが5Gになっていきなりスマホに変わるものになるかというと、そんなことは絶対にない。インターフェースやバッテリーなどネットワークとは別に解決すべき課題が山積みですし。

──5Gスマホを買うベストなタイミングは? という項目もありました。これ、お立場上よく聞かれませんか?

石川 そうですねぇ、私などは全キャリアの5G AndroidとiPhoneを買うわけですが(笑)。少なくとも5Gのスタンドアローンを待つ必要はないと思いますよ、あと2~3年あるわけですから。今年出た5Gスマホを買って、5Gをいち早く楽しまないと。

──まったく同感です! キャリア選びはどうでしょう?

石川 先に申し上げたとおり各キャリアで取得している周波数の特性が異なりますから、5Gスマホではキャリア選びも重要になってきそうですね。それぞれの特性を、それぞれのキャリアがアピールしてくるでしょう。KDDIは国際的に使われている周波数帯を取っていますから、グローバルから端末を調達しやすいかもしれません。

──4Gのときも当初は差がありましたが、ソフトバンクのプラチナバンド取得を皮切りに、徐々に同じ品質になっていきました。

石川 ええ、通信の同質化などという言葉が用いられていましたね。5Gも同じような道をたどると思いますよ。いずれネットワーク品質では差別化しにくくなる。そこで、私はキャリアとGAFAとの関係性に注目しています。

──それもたいへん興味深かったです。本日はありがとうございました。

ほかにもファーウェイの驚異や5G時代のスマホシェアに関する考察、5Gの通信関連特許で「え、あの企業が?(懐かしい)」的な驚きなどもあり、隅々まで読みどころ満載の1冊でございました。ギークを自認する方は、たとえお仕事をされていなくても読むことをオススメします。知識を蓄え、この春5Gスマホを手にした際「まだノンスタンドアローンでネットワークスライシングじゃないんだけどね、あれ、アナタまだ4G?」とか「君にビームフォーミング!」などと言ってキモがられてください。キャバクラでモテたい方にもオススメします。

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