「ノキアのスマホ」が復権、ようやく黒字化。市場をにぎわす存在へ:山根博士のスマホよもやま話

カールツアイスカメラ&5G、豊富なラインナップで中国メーカーを追撃

山根博士 (Yasuhiro Yamane)
山根博士 (Yasuhiro Yamane), @hkyamane
2020年04月6日, 午前 11:00 in nokia
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NokiaP今から5年前にスマートフォン事業から撤退し、その後2017年に復活を果たしたノキアのスマートフォン事業がようやく軌道に乗り始めました。ノキアブランドのスマートフォンを展開するHMD Globalが2019年第4四半期決算でようやく利益を出したというのです。ノキア初の5Gスマートフォンも投入する2020年は、世界中で「NOKIA」のスマートフォンを見かける機会が増えそうです。

ノキアは2014年末にリリースした「Lumia 638」を最後に携帯電話事業をマイクロソフトへ譲渡、マイクロソフトはあらためてLumiaブランドのスマートフォンと、ノキアブランドのフィーチャーフォンの展開を行いました。Windows PhoneをiOS、Android OSに対抗する第三勢力とするために、マイクロソフト自らがOSだけではなくハードウェアも手掛けようとしたのです。

しかし結果を出すことはできず、マイクロソフトは2016年に携帯端末事業から撤退。それを引き継いだのがノキア関係者や鴻海が立ち上げたHMD Global(以下HMD)で、ノキア(現在の本業はネットワーク&ソリューション事業)からブランド利用権を受けノキアブランドのスマートフォンとフィーチャーフォンを展開しています。

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日本ではもはやノキアの名前を知らない人も多いでしょうが、海外では2000年代に圧倒的なシェアを誇っていただけに、年配層は過去に使っていたユーザーも多く、若年層は自分の親が使っていたことで「子供時代のあこがれ」のブランドでもありました。初代iPhoneが登場した2007年、ノキアのSymbian OS搭載スマートフォンは全世界のスマートフォンの過半数のシェアを奪っていたほど人気だったのです。

さてWindows Phone OSの採用で一度は市場から消えたノキアブランドのスマートフォンは、2017年にAndroid OSで復活。数字の型番一桁というシンプルな名称の「Nokia 6」をリリースすると、「Nokia 3」「Nokia 5」「Nokia 7」と機能やデザインを変えたバリエーションモデルを次々と投入。最終的には数字の「4」以外のすべてのモデルを出し、翌年以降の後継機は「Nokia 5.1」「Nokia 6.2」のように小数点以下の数字を増やすことで世代を上げていきました。

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Androidスマートフォン市場に後から参入したものの、過去の知名度に助けられたこともあり新興メーカーにはまねのできない多数のモデルをすぐさま展開。そこから多くのユーザーフィードバックを受け製品の完成度を高めていきます。

また、5眼でカールツアイスカメラの「Nokia 9 PureView」や、高級仕上げの「Nokia 8 Sirocco」など特色のある製品も投入。旧来からのノキアユーザーにそれぞれの端末イメージを容易に伝えるべく、どちらも過去のノキア端末にあった愛称を付与しています。
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さらにはスマートフォンだけではなく復刻版のフィーチャーフォンも毎年展開。2017年に登場した「Nokia 3310」は過去のベストセラーモデルで、通話とSMSといにしえのゲーム「スネーク」が使える程度の単機能電話ながらも大きな話題となりました。

その後も映画マトリックスに出てきたバナナフォンの復刻版「Nokia 8110 4G」など、昔ノキアを使ってきたユーザーたちのノスタルジー心をあおる製品を出すことで存在感を高めていきました。
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現行のノキアスマートフォンのラインナップはミッドレンジが主力モデルとなっており、Snapdragon 800番台を搭載したハイエンドモデルはわずか3機種のみ。ボリュームゾーン向けのモデルで数を出し、製品の利用者を増やすことで知名度を高めていくという戦略なのでしょう。ノキアのスマートフォンを使っている人の友人や知人が「あれ、それってあのノキアなの?」と気が付いてくれればそれだけでも充分なのです。

さて2020年は世界各国で5Gの導入がさらに進もうとしています。ノキアとしてもそれら市場で販売数を伸ばすために5Gスマートフォンの投入は必須。最初の5G機となる「Nokia 8.3 5G」はSnapdragon 765G搭載のミッドハイレンジ端末となりました。価格は599ユーロ(約7万円)と5Gスマートフォンとしては手ごろな価格。カメラはカールツアイスとのコラボです。しかもクアルコムの5G RFフロントエンドモジュールを世界初搭載し、幅広い5G NRのバンドに対応し1モデルで多くの国での展開を考えています。

例えばT-Mobileアメリカが展開する低周波数帯のバンドn71(600MHz)にも対応するスマートフォンは現在まだ数えるほどしかありませんがNokia 8.3 5Gはしっかり対応。このバンドにも対応させるということはアメリカ市場も視野に入れているということでしょう。
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ノキアの5Gスマートフォンは他にもフラッグシップとなる「Nokia 9.2」のうわさが流れていますし、「Nokia 7」のラインもカメラスペックを押さえた5Gモデルが出てくると考えられます。5Gスマートフォンは通信キャリアからの販売も見込めるだけに、5G元年となる2020年に5G機のラインナップを増やすことはHMDのスマートフォンビジネスをより安定させることができるはずです。

中国メーカーの台頭ばかりが目立つスマートフォン市場ですが、ノキアの勢いが増せば市場へ少なからず変化を与えることが期待できます。今後のモデル展開に期待したいものです。

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